外国人材市場を知る 第7回| 2025年 業種別外国人材需要ランキング|製造業・介護・建設・ITなど10分野の採用動向

2026/08/17
2025年の業種別外国人材需要ランキング

はじめに――外国人採用の目的が広がっている

日本で働く外国人労働者は、2025年10月末時点で2,571,037人となり、過去最多を更新しました。製造業や介護、建設業をはじめ、外国人材がいなければ現場を支えにくい業界も増えています。なかでもベトナム人労働者は605,906人。国籍別では最も多く、全体の23.6%を占めています。

採用相談では、今も「人が足りない」という話が出発点になることが少なくありません。ただ、詳しく話を聞いていくと、企業が探しているのは単なる補充要員とは限りません。技術を覚え、数年後には後輩を指導できる人。品質管理や生産管理まで任せられる人。将来の海外展開を支えられる人。採用の目的は、少しずつその先へ広がっています。

本記事のランキングは、FirstStepが外国人材の採用支援を通じて受けてきた相談や、実際の採用現場での経験をもとに整理した独自評価です。公的機関が公表した統計上の順位ではありません。また、企業が人材を探すときの実感に合わせ、統計上の「業種」だけでなく、機械設計・CADのような職種・採用分野も含めています。

2025年 業種別外国人材需要ランキング

順位 業種・分野 需要度 将来性 ベトナム人材との相性
1位 製造業 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★
2位 介護 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★
3位 建設業 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★
4位 IT・情報通信 ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★
5位 食品製造 ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★
6位 物流・運送 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
7位 農業・漁業 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★★
8位 宿泊・観光 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
9位 外食産業 ★★★★ ★★★★ ★★★★
10位 機械設計・CAD ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★

星の数は、現在の採用需要、今後の見通し、当社が接点を持ってきたベトナム人材の経験や適性を総合して評価したものです。成長率や将来の人材不足数を表す数値ではありません。

第1位 製造業

製造業の現場で働く外国人材

外国人材の受入れが特に多いのが製造業です。ひと口に製造といっても、仕事は機械加工、NC旋盤、マシニングセンタ、組立、溶接から、品質管理、生産管理、CAD設計、設備保全まで多岐にわたります。

現場が抱えている課題も一つではありません。熟練技能者の高齢化が進み、技術を次の世代へどう引き継ぐかが問われています。同時に、若手採用の難しさや、DX・自動化に対応できる人材の不足もあります。愛知県、静岡県、群馬県、広島県など製造業が集積する地域では、人材を継続して確保できるかどうかが生産体制にも影響します。

当社が支援してきた採用では、技術習得の早さ、理工系の基礎知識、日本企業での就業経験、チームで仕事を進める姿勢などが評価された例があります。もちろん、国籍だけで仕事への適性が決まるわけではありません。どの工程を任せたいのか、そこで何が求められるのかを明確にしたうえで、一人ひとりの経験を見ることが大切です。

第2位 介護

介護分野で働く外国人材

介護は、人材需要の大きさだけでなく、長期的な育成が欠かせない分野です。食事や入浴の介助、レクリエーション、生活支援、記録作成など、仕事の多くが利用者の日常に直接関わります。介護技術に加え、相手の状態を理解し、職員同士で情報を共有する日本語力も問われます。

厚生労働省の推計によると、必要な介護職員数は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人です。サービス需要が増える一方、身体的・精神的な負担による離職や若手採用の難しさもあり、人を採用するだけでは課題は解消しません。

外国人介護人材の受入れには、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能という異なる仕組みがあります。なお、介護福祉士は制度名ではなく国家資格です。どの仕組みで受け入れるかによって、必要な準備やその後のキャリアも変わります。日本語学習、現場での指導、資格取得を別々に考えず、長く働くための一つの流れとして組み立てる必要があります。

第3位 建設業

道路、橋梁、ビル、住宅の建設に加え、老朽化したインフラの更新も続いています。型枠、鉄筋、配管、とび、内装、電気工事など、現場で求められる技能はさまざまです。

2024年の建設業では、55歳以上の就業者の割合が全産業より高く、29歳以下の割合は低い状態にあります。今後、経験を持つ人材の退職が進めば、人数の確保と技術継承を同時に進めなければなりません。都市再開発やインフラ更新が続くことから、当社では外国人材への需要も安定して続くと見ています。

建設現場では、安全に関する言葉や手順を正しく理解できることが何より重要です。採用後の教育を現場任せにせず、作業の習熟度に合わせて技能や資格を身につけられる環境を整えることが、その後の定着にもつながります。

第4位 IT・情報通信

IT・情報通信分野で働く外国人材

IT・情報通信では、システムエンジニア、AIエンジニア、Web開発、クラウド、データ分析など、専門人材の不足が続いています。技術の変化が速いため、今使える技術だけでなく、新しい知識を学び続けられるかどうかも採用時の判断材料になります。

ベトナムではIT人材の育成が進み、日本企業との共同開発やオフショア開発を経験した技術者も増えています。一方、実際のプロジェクトでは、プログラミングだけができればよいわけではありません。仕様を読み取り、設計の意図を確認し、進捗や問題をチームに伝える力も必要です。担当業務が在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの範囲に合っているか、採用前に確認しておくことも欠かせません。

第5位 食品製造

食品製造は統計上では製造業に含まれますが、仕事内容や採用相談の特徴が異なるため、ここでは一つの分野として取り上げます。弁当、パン、冷凍食品、水産加工、食肉加工など、日々の食生活を支える工場で多くの外国人材が働いています。

北海道、千葉県、埼玉県、茨城県、福岡県では、食品工場の人材需要が目立ちます。この分野で大切なのは、作業を早く覚えることだけではありません。衛生管理や品質基準、安全上の決まりを理解し、決められた手順を守れることが前提です。説明したつもりで終わらせず、本人がどう理解したかまで確認する必要があります。

第6位 物流・運送

電子取引市場の拡大に伴い、倉庫、ピッキング、仕分け、フォークリフト、配送管理などの仕事が増えています。自動倉庫やDXが進んでも、設備の運用や例外対応、品質・安全の管理まで完全に人の手を離れるわけではありません。今後も一定の人材需要が続くと考えられます。

ただ、倉庫内作業、運転、配送管理では、必要な資格も就労できる範囲も同じではありません。「物流の仕事」という括りだけで採用を進めず、実際に任せる業務と在留資格を照らし合わせることが必要です。

第7位 農業・漁業

農業では野菜、果物、酪農、漁業では水産加工、養殖、漁港作業などで外国人材が重要な役割を担っています。北海道、茨城県、鹿児島県は、当社の支援経験でもベトナム人材の活躍が目立つ地域です。

農業では担い手の減少と高齢化が続いています。ただし、採用できればそれで終わりではありません。季節による仕事量の違いに加え、地域によっては住居や通勤手段の確保が働き続けられるかどうかを左右します。都市部とは異なる生活条件まで含めて、受入れを考える必要があります。

第8位 宿泊・観光

訪日外国人旅行者の回復により、ホテル、旅館、観光施設では外国人材の需要が高まっています。接客日本語はもちろん、英語や中国語などの語学力、異なる文化的背景を持つ利用者への対応力も生かせる分野です。

必要な日本語力は、予約対応、フロント、案内、館内業務など、任せる仕事によって変わります。単に「日本語ができる人」と募集するより、どの場面で、誰に、何を説明してもらうのかを決めたほうが、採用後のずれを抑えやすくなります。

第9位 外食産業

外食産業では、ホール、キッチン、店舗運営まで幅広い仕事で外国人材が活躍しています。調理や接客から始め、経験を積んだ後に新人教育、シフト管理、在庫管理を任され、店長候補へ進む例もあります。

入社時の日本語力だけで将来の役割を決めてしまうのではなく、仕事の習熟に応じて任せる範囲を広げることが大切です。何ができれば次の役割へ進めるのかが見えれば、本人も日本でのキャリアを考えやすくなります。

第10位 機械設計・CAD

機械設計・CADは一つの業種ではなく、製造業をはじめ複数の業界で必要とされる専門職です。製造現場の高度化に伴い、AutoCAD、SolidWorks、CATIA、3D CADなどを扱える技術者への需要が広がっています。

ベトナムの工学系大学で学び、設計や製造の基礎知識を持つ人材が日本企業から評価されるケースもあります。ただし、ソフトを操作できることと、その会社の製品を設計できることは同じではありません。図面のルール、品質基準、設計変更の進め方など、入社後に学ぶべき実務は残ります。

業種・分野別に求められる日本語レベル

次の表は、FirstStepの支援経験をもとに整理した採用時の推奨水準です。法律上の条件を一律に示すものではなく、担当業務、社内の教育体制、顧客対応や記録作成の有無によって必要な水準は変わります。特定技能など、分野ごとに日本語試験や技能試験が定められている制度については、別途確認が必要です。

業種・分野 推奨日本語レベル
製造業 N3〜N2
介護 N3〜N2
建設 N4〜N3
IT N2〜N1
食品製造 N4〜N3
物流 N4〜N3
農業 N4〜N3
宿泊 N2〜N1
外食 N3〜N2
CAD・設計 N2〜N1

JLPTの等級は分かりやすい目安ですが、仕事上のやり取りをすべて測れるものではありません。指示が分からないときに確認できるか、異常や遅れを報告できるか、記録を正確に残せるか。面接では、実際の仕事に近い場面を想定して確かめるほうが現実的です。

ベトナム人材に期待される役割

外国人採用というと、かつては技能実習生の受入れを思い浮かべる企業が多くありました。現在はそれに加え、技術者、現場リーダー、品質管理担当、海外拠点責任者、管理職候補として採用したいという相談もあります。

もっとも、役割は自然に広がるものではありません。技術を身につけた後に何を任せるのか。リーダーになるには何が必要なのか。責任が増えたとき、評価や処遇にどう反映するのか。企業側が道筋を示して初めて、本人も先のキャリアを描けます。

採用前から定着まで、企業側にできること

外国人材の採用前から定着まで企業側にできること

採用前に確認したいのは、技術力、日本語能力、人柄、学習意欲だけではありません。入社後、どの工程で何を任せるのか。その仕事は在留資格の範囲に合っているのか。ここが曖昧なままでは、条件のよい人を採用できてもミスマッチが起こります。

入社後の日本語教育とOJTも、切り離さないほうが効果的です。現場で使う言葉、作業手順、安全確認、報告の仕方を、実際の仕事と結びつけて教える。住宅、行政手続、日常生活の相談など、働き続けるための生活支援も必要になります。なお、家族帯同の可否は在留資格によって異なり、特定技能1号では原則認められませんが、特定技能2号では一定の条件で認められます。

そして、忘れてはならないのが評価です。覚えた技能や増えた責任が処遇に反映されなければ、将来を見据えて働くことは難しくなります。採用、日本語教育、OJT、生活支援、評価、昇進を一続きで考えることが、定着への土台になります。

2035年に向けた需要予測

以下は、各分野の人材不足、技術の変化、FirstStepに寄せられた相談、採用現場での動きをもとにした独自評価です。公的機関による統一的な2035年予測ではなく、成長率や将来の人材不足数を保証するものではありません。

業種・分野 成長予測
半導体・電子 ★★★★★
製造業 ★★★★★
介護 ★★★★★
IT ★★★★★
物流 ★★★★☆
食品 ★★★★☆
建設 ★★★★☆
農業 ★★★★☆
宿泊 ★★★★
外食 ★★★★

半導体・電子、製造業、介護、ITでは、専門人材の確保と技術継承が引き続き大きなテーマになります。物流、食品、建設、農業では、人を確保しながら省力化も進めなければなりません。宿泊や外食では、日々の業務を担う人材に加え、将来の現場責任者をどう育てるかが問われます。

まとめ――採用した人材が次の役割へ進めるか

外国人材は、人手不足を補う存在であると同時に、技術や現場を次の世代へつなぐ人材にもなり得ます。当社が接点を持ってきたベトナム人材の中にも、技術力、若い人材層、学習意欲、日本の職場への適応力が評価され、入社後に役割を広げてきた例があります。

ただ、採用しただけで中核人材になるわけではありません。求める仕事と本人の適性が合っていること。必要な教育を受けられること。仕事と生活の両面で、無理なく働き続けられること。そして、身につけた能力がきちんと評価されること。こうした条件がそろって、初めて次の役割が見えてきます。

採用人数だけを見るのではなく、入社した人をどう育て、定着させ、その先の仕事へつなげるか。外国人採用を経営の力に変えられるかどうかは、この積み重ねにかかっています。

参考資料

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