外国人の活躍|第3回 採用が難しいのは外国人だからなのか ある地方工場で見えた適性と採用環境の変化

2026/06/08
外国人採用と採用環境の変化をテーマにした記事イメージ

今回紹介するのは、地方にある中規模の機械メーカーの事例である。

この会社は大型車両向け設備の組立を行っているが、都市部から離れた地域という立地もあり、長年日本人採用に苦戦していた。現在働いている日本人従業員も高齢化が進み、将来的な人材確保が大きな経営課題となっていた。

そこで会社は外国人採用に取り組み、これまでベトナム人を中心に6〜7名を受け入れてきた。しかし現在も継続して働いているのは3名である。

この結果だけを見ると、「外国人採用は難しい」「外国人は定着しない」と考えたくなるかもしれない。

しかし、本当にそうだったのだろうか。

今回の事例を振り返ると、見えてきたのは国籍の問題ではなく、仕事との適性、そして採用環境そのものの変化だった。

難しかったのは、仕事そのものだった

この現場で求められていたのは、単純な組立作業ではない。
扱う車種やメーカーごとに部品の仕様は異なり、その種類も非常に多い。現場では必要な部品を素早く判断し、保管場所を理解し、正しい順序で組み立てることが求められていた。

実際には、数百種類に及ぶ部品を徐々に覚えながら、状況に応じて判断できる状態になる必要があった。
このような仕事では、経験だけでなく、情報を整理しながら理解していく力や、一定期間の中で業務理解を積み上げる力も求められる。
もちろん習得速度には個人差がある。短期間で全体像を掴める人もいれば、繰り返し経験しながら理解が深まる人もいる。
そのため、継続できなかったケースについても、「努力不足だった」「外国人だから難しかった」と整理することは適切ではない。

実際には、業務要件と本人の適性の組み合わせの問題が大きかった。

会社側も、FirstStep側も、業務説明や日常フォローを継続して行っていた。しかし支援だけで解決できる部分と、業務自体が求める適性との間には一定の境界が存在していた。

試用期間は、企業が人を見る時間でもあり、企業自身が学ぶ時間でもある

ここで重要なのは、「一定期間で覚えられなかった=不適性」と固定的に判断しないことである。
もちろん、企業にとって試用期間や評価基準は必要であり、それ自体を無くすべきという話ではない。
しかし、特に外国人採用では、業務理解だけではなく、日本語環境、生活環境、職場文化、指示の受け方など、多くの適応要素が同時に存在する。
そのため、日本人採用以上に、短期間で将来の活躍可能性まで正確に見極めることは難しい。

また、最初の配属では立ち上がりが遅く見えても、工程や役割が変わることで力を発揮するケースも存在する。
だからこそ試用期間は、企業が人材を評価する期間であると同時に、企業自身も「どの条件ならこの人が活躍できるか」を理解していく期間として捉える必要がある。

対話によって見える課題の違い

ここで重要になるのが対話である。
現場が感じている課題と、本人が感じている難しさは一致しないことがある。
業務理解の問題なのか、説明方法なのか、配置なのか、生活面なのかによって、必要な支援は変わる。

FirstStepでは、単なる紹介ではなく、企業と人材の間に入り、現場で起きている認識のズレや期待値の差を整理しながら、双方がより適切な判断を行えるよう支援している。

目的は継続させることではない。

対話を通じて、その人が本当に合っている環境なのかを早い段階で一緒に見極めることである。

採用市場の変化と企業の採用判断を表現したイメージ

採用市場が変われば、企業側の見極め方も変わる

近年、外国人採用環境は大きく変化している。

以前であれば、日本で働くこと自体に大きな魅力を感じる人も多かった。しかし現在は状況が変わっている。
特に一定の技能や経験を持つ人材ほど、欧州や豪州を含め、複数の国・地域を比較しながら進路を選択することが一般的になっている。
例えば、同じ製造経験やスキルを持つ人材であっても、地域や制度、職種によっては、日本より高い報酬や待遇条件を提示されるケースも存在する。
もちろん単純に給与だけで比較できるものではない。生活コスト、言語、制度、家族環境など様々な条件が関係する。

しかし企業側から見ると、以前なら日本を選択していた層にも選択肢が増えているという変化は確実に存在している。

その結果、自社に合う人材を見つける難易度は、5年前より確実に上がっている。

だからこそ、「以前と同じ条件・同じ評価基準で採用すれば十分」という前提自体を見直す必要がある。
これは基準を下げるという意味ではない。

  • どこを絶対条件にするのか
  • どこは育成前提にできるのか
  • どの程度の立ち上がり期間を想定するのか

採用設計そのものを見直していくことが求められている。
今回のケースでも、結果として約半数が継続し、その中には既に現場を支える存在になっている人材もいる。
もし最初から外国人採用に挑戦していなければ、その人材と出会うこと自体がなかったかもしれない。

外国人採用は簡単な解決策ではない。

しかし、人材不足が進む中で、採用市場の変化を理解しながら、企業側も見極め方や支援のあり方をアップデートしていくことは、これから企業が継続して成長していくための重要な戦略の一つになっている。

ご相談・ご質問など、お気軽にお問い合わせください!
サービス導入のご相談や協業に関するお問い合わせも歓迎しております。
お問い合わせはこちら