外国人の活躍|第1回 採用は難しい。しかし成功すると会社は変わる

2026/06/07
採用は難しい。しかし成功すると会社は変わる

採用は難しい。しかし成功すると会社は変わる

外国人採用というと、「人手不足だから外国人を採れば解決する」と考えられることがある。しかし実際には、そのような単純な話ではない。

今回紹介するのは、地方の小規模な機械メーカーで実際に起きた事例である。この会社は、火力発電設備向けの中核設備を研究・製造している。人数は少ないが、高い精度や理解力が求められる現場であり、短期間で習得できる仕事ではない。


採用は近道ではなかった

当然、日本人採用も継続して行っていた。しかし現実は簡単ではなかった。応募はあるものの条件が合わない、実際に働いてみると仕事内容とのギャップが生まれるなど、長期育成型の技能職では採用そのものが難しくなる場面も少なくない。

そこで会社は外国人採用にも取り組んだ。ただし、外国人採用も決して近道ではなかった。約1年間で複数回面接を実施し、日本語能力だけで判断せず、翻訳ツールなども活用しながら現場でコミュニケーションを支援する前提で受入体制を整えた。

しかし結果として、条件面が合わず辞退となったケースが続いた。実際に受け入れた後も、業務理解や適性の面から継続が難しいケースがあった。採用とは単に人数を確保することではなく、仕事との適性を見極めるプロセスであることを、会社側も改めて実感した。

試行錯誤を重ねる中で、会社は求める条件と適性が合う人材と出会った。


成果を生んだのは国籍ではなく適性と育成

成果を生んだのは国籍ではなく適性と育成

そのベトナム人材は、特別に日本語が流暢だったわけではなかった。一方で、溶接技術の基礎があり、説明内容を理解しようとする姿勢があり、分からないことは確認しながら仕事を進めることができた。また、新しい作業にも継続して取り組む姿勢を持っていた。

会社側も任せきりにはせず、現場で教えながら徐々に担当範囲を広げていった。その結果、半年後には細かな溶接工程から組立工程まで対応できるようになった。これまで外部へ依頼していた作業の一部を社内で完結できるようになり、現場全体の進め方にも変化が生まれた。

さらに時間をかけて加工設備への対応範囲も広がり、経営側は営業や設計など、本来集中すべき業務に時間を使いやすくなった。特定の誰かが会社を劇的に変えたわけではない。受入環境を整え、適性を見極め、継続して育成した結果として、生産体制全体の改善につながったのである。

この事例から見えてきたことがある。外国人採用で重要なのは、日本語能力だけではないということである。もちろん、日本語は重要である。しかし実際の職場では、理解する力、確認する力、実行する力、報告・相談する力、そして学び続ける力も同じくらい重要になる。

専門知識や技術は学校教育で身につけることができる。一方で、実際の現場で成果につなげるためには、周囲と協力しながら仕事を進める力や、状況に応じて学び続ける力も求められる。いわゆる社会人基礎力に近い能力である。

人手不足が進む時代において、外国人採用は決して簡単な選択ではない。時間もかかるし、失敗もある。それでも、受入環境を整え、求める条件を明確にし、採用と育成を継続すれば、会社に新しい可能性を生み出すことはできる。

重要なのは国籍ではなく、仕事との適性と成長できる環境なのかもしれない。

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