技能実習制度の誕生と発展
1960年代後半に、海外進出した日本企業が現地法人から現地社員を招聘し、技術や知識を習得した現地社員が、帰国後、その技術を母国(開発途上国)で発揮させたことから、国際貢献と国際協力の一環として1981年(昭和56年)に在留資格が創設された。
外国人研修制度の推進団体である財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、研修生・技能実習生の受入れを行おうとする、あるいは行っている民間団体・企業等や諸外国の送出し機関・派遣企業に対し、総合的な支援・援助や適正実施の助言・指導を行っている。
また、研修生・技能実習生に対しては、悩みや相談への対応に加え、入管法令・労働法令等に基づく権利保護や、研修・技能実習の成果向上を支援している。
1993年(平成5年)には、「学ぶ活動」である研修に加え、「労働者として」実践的な技能・技術を修得するための技能実習制度が導入された。
2010年(平成22年)7月1日の出入国管理及び難民認定法改正により、生産活動など実務を伴う技能習得活動は技能実習制度へ一本化された。一方で、在留資格としての「研修」は廃止されず、座学など実務を伴わない技能習得のみを対象とする資格として存続している。
深刻化する人手不足と特定技能制度
一方、この10年、日本人口は減少傾向が続き、昨年末(令和2年)時点では15歳~64歳の人口は6割を下回った。
この状況の改善策として、2019年5月に特定技能資格が発行されたが、想定通りの労働者が集まられず、来年(令和4年)には特定技能資格の労働年数制限を外し、より多くの外国人労働者が日本に来てもらえるよう検討されている。
実習生・特定技能労働者が想定通り来日しない主な要因として、本記事では低賃金を挙げている。
例えば、同じ介護スキルでも、ヨーロッパやアメリカでは基本給28万円程度を得られる一方、日本では22万円程度となる場合がある。
さらに、日本では単身赴任が前提となるケースもあり、来日への心理的・生活上のハードルになっている。
外国人雇用が抱える悪循環
では、なぜ日本では低賃金となってしまっているのだろうか。
本記事では、主な原因として次の3点を挙げている。
- 採用コストが高い
- 外国人労働者と日本人担当者のコミュニケーション不足により全体効率が低下する
- 低賃金により早期退職率・失踪率が上昇し、契約延長率低下によって教育コストが増加する
これらの要因は相互に影響し合い、悪循環を生み続けている。
①の要因として、日本は人気が高くないため、適材となる労働者を募集するために、外国の斡旋会社へ高い手数料を支払うケースが多くある。
一方で、外国の斡旋会社側も人気が高くない日本向けに人材を集める必要があり、日本側が希望する基準を満たさない労働者を紹介するケースもある。
また、労働者に対して実際の働く環境や作業内容より良く説明されることで、来日後に現実とのギャップが生じ、不満が発生し、結果として③につながる場合がある。
さらに、日本で働くために必要な学習意欲が低下し、結果として②につながるケースも多く見られる。
この悪循環が続く限り、外国人労働者雇用は会社に利益をもたらしにくく、会社が必要とする人財の継続雇用も難しくなる。
果たして、外国人労働者雇用のあるべき姿は何だろうか。次回記事で深堀を行う。